会社員のときは給料から天引きされていた住民税や社会保険料。FIRE後は、これらを自分で払うことになります。

「FIRE後にいくらかかるのか分からない」という人のために、金額の決まり方と、負担を抑えるポイントをまとめました。

まず押さえたいこと:FIRE1年目が一番高い

住民税と国民健康保険料は、どちらも前年の所得をもとに計算されます。そのため、

  • FIRE1年目:会社員だった前年の給与で計算されるので、負担が重い
  • FIRE2年目以降:所得が少なくなれば、負担は大きく下がる

という流れになります。1年目の支払い分は、FIRE前にあらかじめ現金で確保しておくのが安心です。

住民税

決まり方

住民税は、前年の所得に応じた所得割(税率10%)と、定額の均等割の合計です。均等割は標準で年4,000円に、森林環境税の1,000円が加わり、多くの地域で年5,000円です。

所得割は「所得 − 所得控除」に10%をかけて計算します。住民税の基礎控除は43万円です。所得税の基礎控除は2025年分から大きく引き上げられましたが、住民税は43万円のまま据え置かれています。

FIRE1年目:年収550万円だった場合

前年の年収が550万円なら、住民税はおおよそ年27万円です。

計算の目安:給与所得 396万円(給与所得控除154万円)− 社会保険料控除 約82万円 − 基礎控除 43万円 = 課税所得 約271万円。× 10% + 均等割などで約27万円。扶養家族やiDeCoなどの控除があれば少なくなります。

FIRE2年目以降

所得が少なければ、住民税はかかりません。単身の場合、多くの地域(1級地)では合計所得が45万円以下なら、所得割も均等割も非課税です。

ここで重要なのが、投資の利益の扱いです。

  • 特定口座(源泉徴収あり)で売った利益や受け取った配当は、確定申告をしなければ住民税の計算に含まれません(税金は売ったとき・受け取ったときに引かれて完結)
  • 逆に、確定申告をして申告すると、その分が「所得」になり、住民税や国民健康保険料が上がることがあります

国民健康保険

決まり方

国民健康保険料(税)は、自治体ごとに計算方法と料率が違いますが、多くは次の合計です。

  • 所得割:前年の所得(基礎控除43万円を引いた額)× 料率
  • 均等割:加入者1人あたりの定額
  • 平等割:1世帯あたりの定額(ない自治体もある)

さらに、40〜64歳は介護分が上乗せされます。2026年4月からは、少子化対策の財源として子ども・子育て支援金も加わりました(国民健康保険の加入者で月数百円程度が見込まれています)。

FIRE1年目は高く、2年目以降は大きく下がる

前年に給与収入があると、所得割が大きくなり、自治体によっては年40万円前後になることもあります。

一方、所得が少ない世帯は、均等割と平等割が7割・5割・2割軽減されます。2026年度の基準では、単身で前年の所得が43万円以下なら7割軽減です。所得がほぼゼロであれば、保険料は年数万円程度に収まることが多くなります。

正確な金額は、住んでいる自治体の「国民健康保険料 計算」のページやシミュレーターで確認できます。

1年目の選択肢:任意継続

退職後2年間は、会社の健康保険を続ける「任意継続」も選べます。会社が負担していた分も自分で払うため保険料は在職中の約2倍になりますが、計算のもとになる給与に上限があるため、給与が高かった人は国民健康保険より安くなる場合があります。

1年目は任意継続、所得が下がった2年目からは国民健康保険、と切り替えるのが一つの方法です。どちらが安いか、退職前に両方の金額を確認しておきましょう。家族の扶養に入れる場合(年収130万円未満など)は、保険料の負担がなくなります。

国民年金

会社を辞めると、20〜60歳の人は国民年金の保険料を自分で納めます。2026年度は月17,920円(年21万5,040円)です。

所得が少ない場合は、保険料の免除を申請できます。単身なら、前年の所得が67万円以下で全額免除の対象です(「(扶養親族の数+1)× 35万円 + 32万円」以下)。ただし、全額免除の期間は、将来の基礎年金が半分として計算されます。年金を満額にしたい場合は、10年以内なら後から納める(追納する)こともできます。

FIRE後の年金額への影響は、FIREすると年金はいくら減る?で詳しく解説しています。

FIRE後の負担を抑える3つのポイント

  1. 1年目の住民税・保険料は、FIRE前に現金で用意しておく
  2. 投資の利益は「源泉徴収ありの特定口座」で、原則確定申告しない(所得として扱われず、住民税・国民健康保険料が上がらない)
  3. 1年目の健康保険は、任意継続と国民健康保険を比べて安いほうを選ぶ

まとめ

項目 FIRE1年目 2年目以降(所得がほぼゼロの場合)
住民税 前年の給与で計算(年収550万円で約27万円) 非課税になることが多い
国民健康保険 前年の給与で計算。高額になりやすい(任意継続も選べる) 7割軽減などで年数万円程度
国民年金 月17,920円 同じ(免除の申請も可能)

シミュレーターの「毎月の生活費」には、これらの税金・保険料も含めて入力してください。2年目以降の負担を月2〜3万円ほど見込んでおくと安心です。

参考資料