会社員がFIREすると、厚生年金に加入する期間がそこで終わります。その分、将来受け取る年金は少なくなります。では、FIREする年齢によって、年金はどれくらい変わるのでしょうか。
2026年度の年金額をもとに、FIRE年齢と年収別に試算しました。
年金のしくみ:2階建て
会社員の老齢年金は、次の2つの合計です。
- 老齢基礎年金(1階):20〜60歳の40年間、保険料を納めると満額。2026年度の満額は月70,608円
- 老齢厚生年金(2階):会社員として働いた期間と収入に応じて増える。おおまかには「平均年収 × 5.481/1000 × 加入年数」
FIREで減るのは、主に2階の厚生年金です。1階の基礎年金は、FIRE後も60歳まで国民年金の保険料を納めれば満額を受け取れます。
早見表:FIRE年齢・年収別の年金月額(65歳から)
22歳から会社員として働き、表の年齢でFIREした場合の、65歳からの年金月額(基礎年金+厚生年金)です。
| FIRE年齢(会社員期間) | 平均年収400万円 | 平均年収550万円 | 平均年収700万円 |
|---|---|---|---|
| 35歳(13年) | 約9.4万円 | 約10.3万円 | 約11.2万円 |
| 40歳(18年) | 約10.3万円 | 約11.6万円 | 約12.8万円 |
| 45歳(23年) | 約11.3万円 | 約12.8万円 | 約14.4万円 |
| 50歳(28年) | 約12.2万円 | 約14.1万円 | 約16.0万円 |
| 55歳(33年) | 約13.1万円 | 約15.4万円 | 約17.6万円 |
| 60歳(38年) | 約14.0万円 | 約16.6万円 | 約19.2万円 |
| 65歳(43年) | 約14.9万円 | 約17.9万円 | 約20.8万円 |
| 自営業のみ(参考) | 約7.1万円 | ― | ― |
試算の前提:2026年度の金額。FIRE後も60歳まで国民年金保険料を納付。平均年収は賞与込みで、厚生年金は「平均年収 × 5.481/1000 × 加入年数」で概算。加給年金、2003年3月以前の加入期間の計算方法の違い、税・社会保険料の天引きは考慮していません。
平均年収550万円の人の場合、40歳でFIREすると年金は月約11.6万円。65歳まで働いた場合(月約17.9万円)と比べると、月6万円ほど、年間で約75万円少なくなります。
FIRE後も国民年金の保険料は必要
会社員を辞めると、国民年金の保険料を自分で納めることになります。2026年度の保険料は月17,920円(年21万5,040円)です。
40歳でFIREした場合、60歳までの20年間で、今の金額のままでも約430万円になります。生活費を見積もるときに忘れずに含めておきましょう。
所得が少ない場合は、保険料の免除や納付猶予を申請できます。ただし、免除を受けた期間は基礎年金が減額され(全額免除の期間は2分の1で計算)、納付猶予の期間は年金額に反映されません。後から追納(10年以内)することもできます。
受け取り開始を遅らせると、年金は増える
年金は原則65歳からですが、60〜75歳の間で受け取り開始を選べます。
- 繰上げ:1か月早めるごとに0.4%減(60歳からなら24%減)
- 繰下げ:1か月遅らせるごとに0.7%増(70歳からなら42%増、75歳からなら84%増)
40歳でFIREした年収550万円の人の場合、受け取り開始によって月額はこう変わります。
| 受け取り開始 | 年金月額 |
|---|---|
| 60歳(繰上げ) | 約8.8万円 |
| 65歳 | 約11.6万円 |
| 70歳(繰下げ) | 約16.4万円 |
資産に余裕があり、長生きに備えたい人には繰下げが有力です。一方、繰下げるとその間は資産からの取り崩しが増えるため、資産が少ない人ほど慎重に判断する必要があります。シミュレーターの「受け取り開始」で、両方のケースを比べてみてください。
年金を少しでも増やす方法
- 付加年金:国民年金の保険料に月400円を上乗せすると、65歳から「200円 × 納付月数」が毎年の年金に加わります。2年受け取れば元が取れる計算です
- 短時間で働いて厚生年金に入る:サイドFIREで社会保険のある職場で働くと、厚生年金が増えます
- 自分で上乗せする:iDeCo(個人型確定拠出年金)は、掛金が所得控除になる老後資金づくりの制度です
まとめ
- FIREで減るのは主に厚生年金。平均年収550万円なら、40歳FIREで65歳からの年金は月約11.6万円
- FIRE後も**60歳まで国民年金保険料(2026年度 月17,920円)**を納めれば、基礎年金は満額
- 受け取り開始は60〜75歳で選べ、70歳からなら42%増
- 正確な見込み額は「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で確認できる
参考資料