資産を取り崩さず、配当金だけで暮らす「配当金生活」。元本に手をつけない安心感から、高配当株でFIREを目指す人は少なくありません。

では、配当金生活にはいくら必要で、インデックス投資を取り崩す方法と比べて有利なのでしょうか。当サイトのシミュレーターで比較しました。

配当金だけで月25万円をまかなうには

生活費が月25万円(年300万円)の場合、配当利回り4%で必要な資産を計算すると、次のようになります。

保有のしかた 必要な資産
すべて課税口座(配当に20.315%課税) 約9,400万円
NISAで1,800万円、残りを課税口座 約9,000万円
(参考)税金がかからない場合 7,500万円

計算方法:課税口座の税引後の利回りは 4% ×(1 − 20.315%)= 約3.19%。NISAの1,800万円からは非課税で年72万円、残りの228万円を課税口座の配当でまかなう計算です。

ただし、これは**「今年の配当で今年の生活費をまかなえる」**という計算です。物価が上がって生活費が増えると、配当もそれ以上に増えないと足りなくなります。

100歳まで暮らすには:高配当株とインデックス投資の比較

物価上昇や相場の上下も含めて、40歳でFIREし100歳まで暮らすのに必要な資産(成功率80%)を比べました。

運用のしかた 必要な資産
全世界株インデックス(利回り5%・うち配当2%) 約1.38億円
高配当株(利回り5%・うち配当4%) 約1.46億円
高配当株(利回り4%・うち配当3.5%) 約1.61億円

試算の前提:生活費月25万円、配当と売却益に20.315%課税(資産の2割はNISA)、物価上昇率2.0%、22〜40歳は会社員(平均年収550万円)で65歳から年金を受給。

合計の利回りが同じ5%でも、高配当株のほうが約850万円多く必要という結果になりました。

なぜ高配当株のほうが多く必要なのか

理由は税金のタイミングです。

  • 配当は、受け取るたびに20.315%の税金がかかる
  • 値上がり益は、売るまで税金がかからない。売るときも、課税されるのは利益の部分だけ

インデックス投資では、利益の多くが「値上がり」として資産の中に残り、税金を払わずに複利で増え続けます。高配当株では、利益を毎年配当として受け取るたびに税金で目減りします。実際、税金がかからない条件で計算すると、高配当株(約1.24億円)とインデックス投資(約1.26億円)の差はほとんどありませんでした。

また、高配当株は配当が多い分、値上がりが小さい傾向があります。合計の利回りが低めになると(利回り4%の場合)、必要な資産はさらに増えます。

それでも高配当株を選ぶ理由はある

数字の上では不利でも、配当金生活には次のようなメリットがあります。

  • 資産を売る判断がいらない。暴落時に安値で売る必要がなく、精神的に楽
  • 収入が「見える」。毎年の配当額で、生活の見通しが立てやすい
  • NISAで持てば非課税。成長投資枠(生涯1,200万円まで)を高配当株に使えば、税金の不利はなくなる

「数字の効率」と「気持ちの楽さ」のどちらを優先するかで選んでよいと思います。両方を組み合わせて、NISAで高配当株、課税口座でインデックスを持つ方法もあります。

配当金生活の注意点

  • 減配のリスク:不況になると、企業は配当を減らすことがあります。配当が減っても暮らせるよう、現金や生活費の余裕を持っておくと安心です
  • NISAで国内株の配当を非課税にするには手続きが必要:証券会社で配当の受け取り方を「株式数比例配分方式」にしておかないと、NISAでも課税されます
  • 海外株の配当は、NISAでも外国の税金が引かれる:米国株の配当には現地で10%の税金がかかり、NISAでは取り戻せません
  • 税金の申告方法で負担が変わる:所得が少ない場合、国内株の配当を総合課税にして配当控除を受けると税金が軽くなることがあります。ただし国民健康保険料が上がる場合もあるため、慎重に判断してください

まとめ

  • 配当利回り4%で月25万円をまかなうには、税金を含めて約9,000〜9,400万円
  • 100歳まで物価上昇も含めて考えると、同じ利回りでも高配当株のほうが多くの資産が必要(税金のタイミングの差)
  • それでも「売らなくていい安心感」は大きなメリット。NISAを高配当株に使えば税金の不利は小さくできる

高配当株とインデックス投資、自分の条件でどれだけ差が出るか計算してみてください(運用の利回りで「高配当株 4%」を選ぶか、うち配当の割合を変えてください)。

参考資料